起業Story Vol.2 金子裕子さん

出会いから生まれたビジネス
一般社団法人ソーシャルパートナーいっぽいっぽ 金子裕子さん

〜ご主人の事故をきっかけに、障害を持つ子供達へデイサービスを開始
障害を持つ子の与える力に生かされる毎日〜

✔ご主人が事故に遭われ足に障害を
✔障害を持ちながらも輝いてスポーツをする方達の姿に感動し何かできないかと考える
✔自分の意思というよりは、何かやりなさい、と言われているかのような様々な出会いによって起業がスタート

ヘルパーの事業所経営障害を持つ子供達へ「放課後等デイサービス」をご提供されている「一般社団法人ソーシャルパートナーいっぽいっぽ」金子裕子さん。人との出会いから突き動かされるように進んだビジネスには、金子さんの障害者支援に対する熱い思いが詰まっています。最近ではスタッフさんも増やされながら組織作りにも力を入れていらっしゃりますが、その経営スタイルには女性らしい心遣いが溢れているのも金子さんらしい経営スタイル。


私のモットー:そだちを支援するために読み取り力をUPさせる

— 今のビジネスを立ち上げる前の働き方について教えていただけますか?

私は、福祉の業界とは全く違う業界で会社員をしてました。責任のある仕事を任されながらも同時に、部下の教育を担っており、また1児の母として、とても忙しい毎日でしたね。朝、子供を保育園に預け、ギリギリに出社、上からも下からも仕事がふってくるけれど、何とかやり終えてまた夕方6時には子供を迎えにいく、そんな感じで。

頑張っていたのですが、ある日頭がとても痛くて、髄膜炎と診断され3週間入院してしまいました。

入院するまでは、「私がいなければ職場が回らない」ってちょっと勘違いしていたのですが、私がいない間も仕事がちゃんと回るんだとわかったら、
必ずしも企業のために身を削る働き方を続けなくてもいいかな、って。

ー ずっと頑張ってきている人ほど、自分がいないと、って思って悩んでいる方、いらっしゃるでしょうね。

そうですよね、私も本当に、「私がいなくなったらこの会社どうなっちゃうんだろう」って思ってました。

それである時、「子供もいるし、長時間の残業ができない」と上司に伝えたら、残業しない代わりに朝5時半に出社することを提案されて、もう辞めようと決意して。

ー 朝5時半ですか!それは、辞めますね(笑)本当に大変な環境でしたね。そこから、今のビジネスを立ち上げたきっかけを何でしたか?

主人が障害者スポーツをしていたため、障害を持つ方のスポーツ大会などに顔を出すようになりました。体の不自由さに負けず生き生きとスポーツをする方達に出会い、「自分は一体何をしているのだろう。」と思ってしまって。将来、障害者の方の何かお役に立てないかな、と考え始めました。

その頃はまだ会社勤めでしたし、まさか自分でそれをビジネスにするとは思っていなかったですけどね。
それから、職場環境があまり良くなかったこともあり、退職して福祉の世界に飛び込み始めました。

ただ、何の知識もなかったので、本当に学ぶところから。イギリスへ障害者支援を学ぶため留学もしました。
その後、ママ友達の方から、障害児支援のボランティアの貼り紙があるよ、と教えていただいて。
あるご家庭のお子さんの支援をボランティアで始めて、時間を見つけては通いながら、お母さんともお子さんとも、とてもいい関係を築けました。

ー いいご縁があったのですね。

そうなんです。その後、ヘルパーの資格を取って関係を続けさせてもらってました。

そのお母さんなのですが、「障害を持つ子供達を支援できる看護師さんになるんだ」、と言って看護学校に通って看護師として働き始めたんです。なんてバイタリティーのある方なんだろう、と。

ただ、お母さんが看護師さんとして働き始めると、私が派遣されていたヘルパーの事業所からたくさんのヘルパーさんを派遣できる事業所に変えてもらう必要が出てしまって。

そんな時、「金子さん、やっちゃえ、やっちゃえ!」と言っていただいて、個人でビジネスとして立ち上げるきっかけをいただいたんですよね。

ー (笑)それはまたすごいきっかけですね!そこからどのように立ち上げていったのですか。

実は、役所に事業の届出について確認したところ、今個人ではこの事業はできない、と言われてしまって。でも、その一カ月後に役所から電話があって、「やっぱりやってください」って言うんです。そのお母さんに、役所からできないって言われてしまったとお話したところ、お母さんが役所の窓口まで聞きにいってくれていたみたいで。その日に即日、役所からオッケーの電話がありました。

ー えー!すごい!

でしょ?(笑)ノリとひらめきと!それから、何かにやらされてる感じで。
その後も、親戚や知り合いが事故等で障害を抱えるということが続いてしまって。あ!これは、神様が何か私にやれ、と言っているんだな、と思って。だって、こんなに立て続けに周りの方が障害を持つことってないから。

ー 本当にそんな感じですね。この出会いがなかったら、こうなってないというか。

そうそう。ボランティアのチラシを見せてくれたママ友達もそうだし、いろんな出会いによって突き動かされてきました。

ー 金子さんは、周りの方に、こういうことがやりたい、とシェアするようにされていたのですか。

なんかお互いにこういうことやりたい、ということを何気なく話してたら、すぐその後、チラシを持ってきてくださったんです。本当にすごいですよね。

ー そうですね、使命を感じるような展開ですね。

その後、法人化されるタイミングで、こちらにご依頼をいただいたのが、金子さんとの最初の出会いでしたよね。あれは、何年目だったのでしょうか。法人化されるにあたり、勇気はいりましたか。
あれは、起業して3年目でしたね。最初は足立区の指定だけでやっていたので法人化は必要なかったのですが、東京都の指定をもらうために法人化することが必要だったので、起業して3年くらいで法人化することは目指してやってきていました。
ちょうど月々の収入がある程度落ち着き、ヘルパーさんの数も増えてきて、法人化できましたね!

ー さすがですね。ところで、起業をしたい女性のクライアントさんから、働き方についてご相談を受けることがあるのですが、起業は金子さんのライフスタイルとも合っていましたか。

私が起業したときは、息子はもう高校生で手はかからなかったけど、大学受験でお金はかかる時期で(笑)起業するにはいいタイミングでしたね。

ー 起業して良かったと思うことは何ですか?

人との出会いを通して自分が支えられている、ということを知れたことですね。

ー 障害を持つお子さんと関わる中で、日々どんなことを感じられていますか。

障害を持つ利用者さんとの出会いを通して学ぶことが多いです。ある自閉症の女の子は、ちょっとこだわりが強くて、行き先を決めて一緒に出かけるのですが、途中でどうにも動けなくなって、時にはお巡りさんに心配されたりしながら一緒にお出かけしているのですが、

ある日、公園を行き先に決めて出かけたら虫がうじゃうじゃ発生してて、私、少しパニックになってしまって(笑)
彼女に、「ごめん、ちょっともう行けない」と言ったら、「大丈夫、大丈夫」という感じでにこにこしながら左手をあげてくれて。いつもと全く逆の立場になりました。

この子供達はいつも助けてもらっているばかりではない、ちゃんと気持ちを察して与えることができると気付きましたね。
このように、子供達と心が通じ合う瞬間をそれからも多く体験しています。
障害を持ったお子さんをただ預かるというサービスをされている業者さんもいらっしゃりますが、
私は、子供達の持っているものを育てていきたい、そう思っています。そのためにも、子供達に自分で目標を決めてチャレンジしてもらうということを大事にしています。

ー 素敵なストーリーをありがとうございます。金子さんのご主人も今金子さんのビジネスに一緒に入られていますよね?

そうですね。主人には、起業を始めるときから、役所に提出する書類を見せたりするなど、事業を立ち上げる過程を見せるようにしてきました。

主人も子供が好きで障害者スポーツのコーチとして障害者支援に関わってきたので。これからの展開も、力を合わせて一緒によいビジネスに創り上げていきたいです。
私は、子供達の持っているものを育てていきたい、そう思っています。そのためにも、子供達に自分で目標を決めてチャレンジしてもらうということを大事にしています。

金子裕子さんの1日のスケジュール

7:30  起床、パソコンを開きメールをチェック、お気に入りのコーヒーを入れる
    洗濯はタイマーにて前日にセットし、8時30分干す。
 ↓
9:00  犬にご飯、掃除
 ↓
9:30  身支度
 ↓
10:00  出社
 ↓
12:00 昼食
 ↓
13:00 子供達のお迎え
 ↓
17:00 子供達の見送り
    掃除が終わり次第指導員と申送り
 ↓
19:00 指導員退社、日報、記録整理
 ↓
20:30 業務終了

その後、夕食やペットとの時間を過ごし、23:30頃に就寝。

スタッフさんとのコミュニケーションを大事にしている金子さん。申し送りや振り返りを受けながら、相談を受けて一緒に考えていると、時間を忘れてしまうこともあるようです。